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2、カチャーシーの踊り方講座!!

 「じょうずなおばあがいるよね」
 「うん、見てると、涙が出そうになるぐらい」
 何の話かわかりますか?《カチャーシー》なんです。沖縄県民のみなさんなら、じょうずなおばあを一度ぐらいは見たことがあるでしょう。そして、こう思ったはずです。「ああ、どうして自分は上手に踊れないんだろう」
 言葉や文章ではうまくなれません。何度も踊りなさい。上手な人のまねをしなさい。おばあも、きっとこうしてうまくなったんだはず。ああ、なんとすばらしい解決方法。なんて冷たいことは言いません。
 私なりに《はじめてのカチャーシー》のポイントを書いておきます。

●準備
 壁に向かって、30センチ離れて立ちます。その壁に、縦40センチ横50センチの長方形を描きます(ほんとに描いて、家族からしかられないように)。これは、だいたい新聞紙半分(一面分)ですので、新聞紙を貼るといいですね。貼る位置は、目の高さで右肩より(右手の練習ですので)にします。
 長方形の角に名前をつけます。右上をA、右下をB、左下をC、左上をDです。A−C、B−Dは、それぞれ対角線です。(数学の問題みたい)

(1) 手首の動き
 あなたの手首から指先までを、ペンキを塗るハケだと思ってください。やわらかい毛が生えたハケ。それで、線を描きます。
 右手の練習です。
 A−B−A−B−A と右手で線を描く練習をしましょう。
 A−B のとき、手のひらを新聞紙にペタリとつけて、下へ移動しますね。このとき、指先(毛先)はAの方に向いています。手首から進んでいる感じですね。
 Bに到着したら、指先(毛先)を下にして手の甲(爪のある方)を新聞紙にペタリ。あなたから、手のひらが見えてますね。え?苦しい?きっと、肘(ひじ)が下がっているからです。脇を開けて、肘を横に張り出すようにしてください。その形で上へ移動します。指先はBの方を向いているはずです。これを繰り返すと、AとBの位置で手首が《カクン》と返りますね。その手首の動きが《カチャーシーらしさ》を生み出します。
 A−B、B−Aどちらの動きも、手の進む方向は、基本的には手首の方だと思ってください。
 同じ動きを左手でもやってみましょう。すぐにできるでしょう?では、次へ。

(2) 腕の動き
 もう少し踊りらしくしてみましょう。
 男性は、手をにぎって《グー》。女性は、指をそろえて伸ばすのが一般的ですが、まず、男性も女性と同じように指を伸ばしてやってみてください。動きに慣れたら、《グー》でやってみるといいでしょう。《グー》のときにも、手首の動きを忘れないようにしましょう。
 では、Aの位置からスタートです。

 AからCへ移動(手のひらを新聞につけて)
 CからDへ移動(手の甲を新聞に)
 DからBへ移動(手のひらを新聞に)
 BからAへ移動(手の甲を新聞に)

 この4つの動作を続けると、新聞紙に対角線を描く動作になりますね。この対角線を《黄金のクロス》といいます(大ウソ)。
 《C−D》《B−A》のとき、女性なら親指と中指で《○》を作るようにしてみると、柔らかさがでていいかもしれませんね。
 今度は、新聞紙を左側に移動させて(自分が右側に移動した方が早いですね)左手も同じように練習してみてください。
 両手を動かせば、カチャーシーらしくなります(きっと)。
(3) リズムを刻む

 パッカパッカパッカパッカ
 A  C  D  B

 初めは、上に書いたようにリズムをとるのがやさしいと思います。

 パッカパッカパッカパッカパッカパッカパッカパッカパッカ
 A     C     D     B     A


 慣れれば、このように《A−C−D−B》の移動をゆっくりとするのがよいでしょう。もっとゆっくりでもかまいません。いつも一定の早さで踊るのではなくて、早くしてみたり遅くしてみたりしながら踊りを楽しみます。動きにメリハリをつけるのもいいですね。時計の秒針が《カッカッカッ・・・》と一秒ごとに刻むように、手の動きも《パ》の時に動きを一瞬停めるようにするわけです。試してみてください。


(4) さらに踊りらしく
 《黄金のクロス》は、いつも同じ位置、同じ大きさ、同じ角度とは限りません。あるときはもっと下に、あるときは頭の上に、あるときは顔のすぐ横に。もっと大きく、とっても小さく。形だって、あなたの体をぐるりと一周するクロスや、横5mのクロス(歩きながら手を動かすわけです)。いろんな場所に《クロス》を移動させ、いろんな大きさで踊ることによって、ますますカチャーシーらしさが出てきます。
 両手のバランスも大切です。両手がいつも同じクロスを描いていると、両手の高さはいつも同じということになります。それよりも、高さが違う方がバランスはよいでしょう。《ABCD》の長方形の《C−D》を短くして、(左手の場合は、A−Bを短くして)三角形に近い形にしてしまうのもよいでしょう。そうすれば、手の高さの変化が自然に(練習するのは大変でしょうけれど)つくでしょう。
 もちろん、音楽に《のる》ことも大切。ひざを少し曲げて、体全体を小さく上下にうごかし(パッカパッカと、馬に乗っているような感じでもいいですね。乗ったことはないけど)、さらに、腕の動きに合わせて上体を左右に傾けていくと、「踊ってる!」という実感がわいてくるでしょう。ほら、もうすっかりカチャーシー!自分の姿を鏡に映して、《かっこいい》踊りを研究しましょう。
(5) チェックポイント
 あ、踊り慣れてないな!と感じさせるのは、こんなところではないでしょうか。自分でチェックしてみましょう。

 ●肘(ひじ)が下がっている
 脇を開けるように心がけましょう。踊りは、大きく見える方がいいんです。結婚披露宴の最後のカチャーシーなら、隣の人にぶつかってもみんなニコニコ。

 ●肘が体の前に出ている
 《まねきねこ》のような形になってはいけません。肘を横に張り出しましょう。これも、大きく踊るための大切なポイントです。

 ●表情が硬い
 カチャーシーは、《喜び》を表現する踊りです。困った顔は禁物。「私が一番上手なのよー」という顔で踊りましょう。飛び跳ねて踊るのもアリです。

 ●体が動いていない
 手が左に出るときは、体も左に傾けてみる。体を上下に動かしてみる。膝(ひざ)でリズムをきざむ。舞台の端から端まで歩いてみる。会場を一周する。大きく動くほど、アラが隠せると思います。

 さあ、あとは本番を待つのみ。
 え?本土出身だから踊る機会がない?せっかく練習しても見せる場所がなければやりがいなしですよね。兄弟か親戚、友達でもいいですから、沖縄の人と結婚させちゃいましょう。


△おまけ−15
 ようし、コンクールだ!と、はりきっている方。ごめんなさい。この本で練習しても、コンクールで《賞》をとることはできません。コンクールでは、必ず師匠の名前が必要です。
 個人で歌三味線を練習している場合、腕前を発揮する場はそう多くないはずです。自分のペースで楽しく練習できる反面、目標を持ちにくいとも言えます。
 練習を続けているうちに、自分の腕前を確認したいとか、コンクールを目標の1つにしたいと思った方は、《研究所》等へ行ってさらに練習を続けてください。この本で練習したことが、役立つことをお祈りしております。


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