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(4)調弦(ちょうげん=チンダミ)

 さて、文章表現の最も難しいチンダミです。

〈その1〉
 まず、購入するときに一度チンダミをしておいてもらうことを忘れないでください。その様子を見ておくのもよい勉強です。
 家に持ち帰ってからウマをたてたときに、一度チンダミをした三味線なら、音の大きなズレはないはずです。たぶんないと思います。あるかもしれません。あるだろうなあ。
 弦の音の高さを調整するために、右手で弾いて、左手でムディをひねります。ムディのひねりぐあい(=糸の張りぐあい)で、音の高さが変わります。強く張れば、音は高くなるわけです。どちらにひねると高くなるのかは、実際にやってみればわかることです。
 このムディは、ただ《摩擦》の力だけで止まっているものです。扱い方によっては、固くて回らなくなってしまうことや、逆になかなか思う場所で止まってくれなくなることもあります。無理な力をかけると折れることもあります(めったにないですけどね)。丁寧に取り扱ってください。何度か操作するうちに慣れると思います。
 では、チンダミを確認してみます。女弦を弾いて、それが《ド》だと心に決めます。
 女弦を《テンーー》声に出して《ドーーー》です。

 このとき、女弦の音があきらかに低すぎるとか、糸がたるんでるぞという場合には、女弦そのものを合わせなければなりません。適当な楽器で《C》(ド)を鳴らしてその音に合わせましょう。と書いても、《(ド)にもたくさんあって、わからないよ》と言われそうですね。〈ドレミの歌〉をご存じですか。《ドはドーナツのド・・・》この最初の《ド》は男弦の音、《さあうーたーいーまーしょー》の《しょー》が、女弦の音です。

 その女弦の《ド》から、《ドシラソファミレド》と歌うようにつぶやきましょう。(大きな声でもいいですけれど、近所迷惑だと思います)
 最初の《ド》は、女弦の音ですね。最後の《ド》は、男弦の音になります。最後の《ド》と男弦の音が同じならOK!明らかにずれているようなら、男弦のムディをひねって自分で調整してみてください。(私の経験から、男弦の方が音をつかみにくく、ずれることも多いので、ここでは女弦を基準にして、男弦を合わせるという方法にしています。逆の方がやりやすいと思われる方は、男弦を基準にして合わせてみてください)

 さて、男弦と女弦がOKなら、中弦です。中弦は、《ファ》です。
 《ドレミファソラシド》とつぶやきながら、
 最初の《ド》を言うときに、男弦を弾いて、
    《ファ》のときには、中弦を弾いて、
 最後の《ド》を言うときに、女弦を弾きます。
 声と弦の音があっていれば、チンダミは完成です。

〈その2〉
 もう1つのやり方です。男弦と女弦は、先ほどと同じようにして合わせます。次に、男弦の歌口(うたぐち=〔2、工工四〕参照)から15センチ下がったところを押さえて、音を鳴らします。その音と同じ音が出るように、中弦を調整するのです。
 この方法は、ギターのようにフレットのついた楽器ですと正確に合わせられるのですが、三味線の場合はあまりおすすめできません。


 正確にチンダミをするのは、極めて困難です。自分でできるようになるには、数カ月あるいは数年かかると思ってください。本土の三味線では、《調子三年》という言葉があるそうです。チンダミが満足にできるには、3年かかるということですね。

 チンダミは、できる人に側についていてもらうのが一番いいのですが、側にそんな人がいないし、自分ではどうしようもないという場合、電話で確かめることもできるはずです。電話でチンダミ、なんと便利な世の中。ファックスではできませんので気をつけて。
 一度チンダミを合わせたら(合わせてもらったら)女−中−男、男−中−女 と何度か弾いて、音を覚えることです。《ドレミファ・・・》を唱えなくても、《テンテンテン》と三つの弦の音をそれぞれ合わせられるようにがんばりましょう。

 チンダミの手助けをするために、楽器店で売っているチューニングメーターも利用できます。また、ピアノやリコーダー(縦笛)の音を聞いて合わせるということも、音楽に自信のある方ならできるかもしれません。例えば、女弦を基本の音(ピアノ等のC)に合わせます。あとの2本は、FとCに合わせればよいわけです。

 ずいぶん長い道のりでしたが、ついに、三味線は弾ける状態になりました。
 ブガリシャヨー(疲れたー)


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