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3、練習曲(本調子)

 いよいよ、曲に入ります。〈鷲ぬ鳥節〉から練習するように書いています。
 なぜ、〈鷲ぬ鳥節〉から練習するのかを、説明しておきます。
 琉球古典(沖縄本島の古典音楽)では、〈安波節〉から練習していると聞いたことがあります。おそらく、「短くて、覚えやすい」ことが最初に練習する理由だと思います。〈鷲ぬ鳥節〉の方もそのような理由があてはまりますが、もう1つ大切な理由があるんです。
 八重山(石垣島とその近辺の島々)では、結婚披露宴やそのほかのお祝い事で、この〈鷲ぬ鳥節〉が歌い踊られることが多いのです。また、歌詞の内容から、お正月にもよく聞かれます。このように、《おめでたい歌》であることから、八重山ではこの曲を演奏する場がけっこうあるわけです。練習して覚えたらそれでおしまいという曲よりも、練習したあと、末永く歌っていける(利用価値がある)曲の方がいいですよね。 そういうわけで、〈鷲ぬ鳥節〉を最初の曲に選択しました。
 「あら、私は東京に住んでるのよ。沖縄本島に遊びに行くことはあっても、八重山に行くことはあまりないわ」
 という方もご安心を。〈鷲ぬ鳥節〉は、本島でも《八重山民謡》として有名です。那覇の人(民謡の好きな人)の前で、「鷲ぬ鳥節を歌います!」と言えば、「ほう、八重山の曲はむずかしいのに。すごいねえ」と喝采まちがいなし。
 そんなわけで、〈鷲ぬ鳥節〉を最初に持ってきました。でも、あなたが八重山の歌にこだわらないのでしたら、ここは一応読み通して、実際の練習はお好きな歌から始めてください。
 三味線を始めた動機が、「あの曲をひきたいから」ということでしたら、この本の必要なところだけを読んで、《あの曲》からいきなり練習してみましょう。テンポのゆっくりした曲なら、なんとかなるでしょう。もし、《あの曲》がカチャーシーの曲のような《早弾き》の曲でしたら、そして、他には特にやりたい曲がないというのでしたら、次の〈鷲ぬ鳥節〉などゆっくりとした曲を数曲マスターしてから《早弾き》に挑戦してみてください。
 本屋さんに行けば、『正調・琉球民謡工工四 第1〜・琉球音楽楽譜研究所』があります。この本は、沖縄、宮古、八重山の民謡を集めてあるもので、全巻揃えておけば、この中からあなたの好きな曲の工工四を見つけることができるかもしれません。
 『《あの曲》を弾きたいっていうのはないんだけど、もうちょっと親しみやすい曲からやりたいんだけど・・・』とおっしゃる方は、2曲目の〈新安里屋(しんあさどや)ゆんた〉から始めてはいかがでしょうか。三味線の音と歌のメロディーがほぼ同じになっていますので、弾いていても楽しいでしょう。それに、歌詞が共通語なのが心強いですね。


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