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〈鶴亀(つぃるかみ)節〉

 おめでたい曲です。川平(石垣島にある村)では、結願(きつがん)祭のときにこの鶴亀節が歌い踊られます。沖縄本島でも、歌詞を変えて(メロディーも少し変わって)歌われています。

(1)三味線を弾く

(1) 新しい音
 この曲では、《尺》が登場します。また、《ちらし》の〈矼ゆば節〉では、《六》が出てきます。(《ちらし》については、後ほど解説します)

 
工-|-----五--------六-------七-------八-------------  女弦
  |
四-|-----上--------中-------尺----------------------  中弦
  |
合-|-----乙--------老-------------------------------  男弦

 《尺》の音は、2種類あると思ってください。後から練習する早弾きの曲では、高めの方を使うことが多いようです。ここでは、普通の方(=《七》と同じ距離)を使いましょう。
 ここまでに、音を表す漢字が12種類出てきました。ほとんどの民謡は、この12種類で演奏できます。工工四を見れば、知らない曲でも演奏ができるはずです。


(2)歌う

 歌詞を書いておきます。

・川平村 上なか みるく世ば 給ぼられ
 ツィルカミヌ マイアスィブ

・昔世ば 給ぼられ 神ぬ世ば 給ぼられ

・川平主ぬ おうりから ゆぬ村や あらんだら


 《つぃ》の発音は《すぃ》等と同じ要領で。《昔世》は《むかすぃゆ》、《給ぼられ》は《たぼられ》、《川平主》は《かぶぃらしゅ》と読みます。
 3番の《あらんだら》は字余りです。《らん》を1つにして、字数を合わせます。

 歌詞の意味はおよそ以下のようになります。

・川平村に、豊作の年をたまわった
・すばらしい世の中をたまわった
・(現在の)川平村の役人になってから、以前とは比較にならないほどすばらしい

 《昔世・神ぬ世》は対で用いられることが多く、世の中が理想的である様を表しています。《みるく世》もほぼ同じ意味で用いられます。八重山には、お祭りに《弥勒(みるく・みりく)》と呼ばれる神が登場する村があります。《みるく世》は、この《弥勒》によって豊作と繁栄の約束された世の中という意味になると思われます。


(3)ちらし〈矼(はし)ゆば節〉

(1) 《ちらし》について
 丸福レコードのCD『八重山の歌』をお持ちの方は、〈赤馬節・しゅうら節〉〈鶴亀節・矼ゆば節〉など、2曲セットになっていることにお気づきのことと思います。いずれも、1つ目の曲を弾いた後、続いて(ふつう、切れ目なく)2曲目を弾くことになっているものです。2曲目を《ちらし》といいます。〈しゅうら節〉は〈赤馬節〉のちらしとして、〈矼ゆば節〉は〈鶴亀節〉のちらしとして演奏されるわけです。
 ちらしとして演奏される曲も、単独で演奏してかまいません。例えば、波照間島では、《スン踊り(ぶどぅるぃ)》という舞踊で〈矼ゆば節〉を演奏します。(歌詞、メロディーともやや異なります)
 ここで注意。ちらしとして演奏するときには、《ちらしの場合の歌詞》が別になっていることがあります。〈矼ゆば節〉では、単独で演奏するときには《古見ぬ浦ぬ矼ゆば》という歌詞ですが、〈鶴亀節〉のちらしとして歌うときには《うやぐみさ あてぃどぅん》という歌詞を使います。

(2) 〈矼ゆば節〉におけるテクニック
 この〈矼ゆば節〉を演奏するときに、ちょっとしたテクニックを使うと、演奏しやすくなります。
 この曲には、人差し指を使う音《五、上、乙》が使われていません。このような曲の場合、人差し指がもったいないので(?)、人差し指で《六、中、老》を押さえます。中指は《七、尺》を受け持つことになります。もちろん、いつもの左手の位置では無理ですので、左手を6センチほど下にずらしてこの演奏をすることになります。この場合は、親指ごとずらしてしまいます。
 「せっかく使う指と音を覚えたのに、これじゃあ混乱してしまう」
 そんなこと言わずに、やってみてください。案外すんなり弾けるようになるものです。
 このテクニック、他の曲(〈前ぬ渡(まいぬとぅ)節〉等)にも使いますので、是非練習してください。
 ところで、この手の位置で弾きますと、適当に音をならすだけで、いわゆる《琉球音階》に聞こえるんですよ。うそだと思うなら《合、老、四、中、尺、工、六、七》を組み合わせて、曲を作ってみてください。ほら、今日からあなたも作曲家。


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