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〈ナークニー〉

 民謡をよくご存じの方は、「ナークニーはむずかしい。もっとやさしい曲から勉強しなさい」とおっしゃるかもしれません。たしかに、ナークニーを極めるのはむずかしいでしょう。しかし、演奏のむずかしい曲ではありません。CDと工工四を揃えて練習してみてください。

 * いろんな〈ナークニー〉
 〈ナークニー〉は、〈みゃーくに−〉〈まーくんに−〉〈宮古根〉などと書かれることもあります。〈本部(むとぅぶ)ナークニー〉〈山原ナークニー〉など地名を含んだ曲名もあります。さらに、〈具志川(ぐしちゃー)小唄〉〈ヤッチャー小(ぐゎ)〉のように〈ナークニー〉の文字は入っていませんが〈ナークニー〉に入れて良いと思われる歌もあります。歌詞とメロディーにも個性があって、それに歌い手の個性も加わります。 〈ナークニー〉の世界は広い!
 〈ナークニー〉は、1つであって、1つでない。いろんな〈ナークニー〉を聞き比べるのも楽しいものです。

(1)三味線を弾く

 CDと工工四を手に入れることができれば、三味線を弾くことは簡単だと思います。ただ、〈ナークニー〉は演奏者の個性が強く出ますので、入手したCDと工工四とが合っていないことが多いと思います。演奏者によっては、1番と2番とで歌い方や三味線の音が違っていることもあります。同じ演奏者でも、時には違う歌詞を使ったり、間奏が長かったり短くなったりすることもあります。
 ここが、ナークニーのむずかしさでもありますが、裏を返せば、自分なりに演奏を楽しむ《許容範囲》が広いともいえます。
 工工四を読んで、三味線を練習したら、CDで歌をしっかりと覚えてください。ここまで練習してきた方なら、覚えた歌と三味線を合わせることは、それほどむずかしくないと思います。耳に自信のある方なら、工工四を見ないで、CDを聞いて覚えて弾くこともできるかもしれません。

(1)沖縄民謡での装飾音
 装飾音=かざりの音ですね。五線譜なら、小さな音符で書かれることがあります。沖縄民謡の工工四の場合、装飾音符は書かれていないと思います。
 次は、〈ナークニー〉の歌持です。ここでよく使われる装飾音を練習しましょう。

 (三下げ)
 合 老 四 中 五 七 四 合 五 中 工 合 上 老 四 五七四

 《五》が3回でてきます。2回目の《五》の直後に、装飾音を入れてみましょう。《五》を弾いて次の《中》を弾くまでの間に、音を加えるわけです。
 練習です。《五》を弾きます。《五》の音が《テンーーーー》と伸びます。音の伸びている間、すなわち、《ーーーー》の間に、中指で《五》と《六》の間あたり(五の近く)を1回押さえて、はなします。《押さえて、はなす》というよりも、《ポンとたたく》という感じです。この間、人差し指は《五》を押さえたままですよ。
 さっそく〈ナークニー〉の歌持でやってみましょう。
 この場合、右手で弦を弾かずに左手中指で押さえるだけで音を出しています。《五》の指(人差し指)をはなさないで中指で《ポン》です。
 《上》の音でも、同様のテクニックが使えます。
 このテクニックを使うと、曲が軽やかに聞こえるような気がしませんか?

(2)三味線の音の強さと歌
 民謡は、歌が主役。沖縄民謡の歌い手のCDを聞くと、歌持ちでは元気に聞こえていた三味線の音が、歌の部分に入ると小さくなっていることが多いですね。「さあ、歌が始まった。三味線は出しゃばらなくていいんだよー」といったところでしょうか。1つのテクニックなのでしょう。
 いろんな〈ナークニー〉を聞いてみると、このテクニックがごく普通に使われています。
 八重山民謡では、このようなことはしない(はず)と思います。が、声と三味線の音の大きさのバランスには、やはり気を配るべきでしょうね。


(2)歌う

(1) 歌詞
 〈ナークニー〉は、即興で歌うものだとも言われています。しかし、沖縄県民でも方言で即興の歌詞を作るのは困難でしょう。ましてや、沖縄方言を使いこなせない本土の方には無理な話です。工工四やCDの歌詞カードを読んで、気に入ったものを覚えてしまいましょう。人生を語るような歌詞やこっけいな歌詞、ただ地名を並べて語呂合わせしたのや、失恋の歌、さまざまな歌詞があります。いくつか覚えておくと、余興で使えますよ。
 「どうしても、自分で歌詞が作りたい!」
 という方。できるものならやってみなさい。「できないけど、やりたい」という方には、知っている《琉歌》をうまく使って、その場に合わせてしまう方法をおすすめします。《替え歌》といえばわかりやすいですね。

(2) ちらし
 〈かいされー節〉あるいは〈ジントーヨー〉と呼ばれる歌が、〈ナークニー〉のちらしに使われることが多いようです。お手持ちのCDを聞いてちらしも同時に覚えてしまいましょう。《早弾き》なので、苦労するかも知れませんが、どこかで〈ナークニー〉を披露したときに、〈かいされー節〉まで弾いてしまうとかっこいいです。


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