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7、レベルアップのために
 ここまで、ずいぶん努力して三味線と歌を練習してこられたと思います。ここで、さらにレベルアップするためのコツを。

●耳で覚えて演奏する
 まず、工工四を見て三味線が弾けるようになりました。それに合わせて歌が歌えるようになりました。次に、工工四を見ないで演奏できるようになりましょう。
「工工四を覚えてしまうの?中工上・・・っていう具合に?」
 ちょっとちがいます。練習を始めたころは、工工四の漢字を覚えていたと思いますが、ここでは、《曲を音で覚える》と表現したほうがいいと思います。《中工上 合四上・・》と覚えるのではなく、《テントンテン トンツンテン・・》といった感じ(テンでもペンでもコンでも何でもいいんですよ)で覚えるのです。この《テン》という音と指(勘所)がマッチしてくると、しめたものです。 聞き覚えた曲を演奏してしまうことができるようになります。ここまでくれば、《早弾き》を覚えるのも格段に楽になります。それに、民謡以外の曲(工工四のない曲)でも三味線で弾けるわけです。〈ぞうさん〉〈チューリップ〉などの童謡を三味線でひくのも、なかなか味わい深いものですよ。


●歌を三味線に合わせない
 三味線に合わせて歌を歌う、と思っているでしょう。その通りですが、ちがいます。三味線の音を無視して歌うことはできません。でも、三味線にきちんと合わせて歌うだけでは、《堅い歌》になってしまいます。
 森繁久弥さんの〈知床旅情〉をごぞんじでしょうか。知らない方も、《気持ちよさそうにマイクを持ってカラオケを歌っているおじさん》を想像してください。あ、できるだけ上手な人を想像してくださいよ。
 前奏が流れる。歌が始まる。伴奏に合わせて歌っているけれど、伴奏よりも少し遅れたりする。伸ばす音が伴奏よりも長くなったり、駆け足になって伴奏に追いついたり・・・伴奏の流れている空間を、歌はけっこう自由に動き回っているんですね。
 これもやりすぎるとイヤラシイものですが、上手にやれば聞いている方も気持ちよくなります。
 民謡も同様。キッチリ歌いすぎるよりも、遊びがあった方が楽しいものです。


●《三下げ》《二揚》も本調子?
 三味線の音を耳で覚えて演奏するようになると、「本調子の曲はやりやすいけれど、二揚、三下げの曲がむずかしい」と感じるでしょう。そこで、次のことを記憶しておいてください。
 「本調子の『男弦と中弦の関係』は、二揚、三下げの『中弦と女弦の関係』である」
 これを意識しておくと、二揚、三下げの調子でも、音をつかみやすいと思います。一度試してみましょうか。
 〈鷲ぬ鳥節〉の歌持を、二揚で弾きましょう。三味線を二揚にしてください。
 二揚の三味線の中弦を《男弦》だと思うこと。女弦は《中弦》だと思ってください。《中工上 合四上》を弾きます。《中》は、その三味線の女弦を左手中指で押さえた音ですよ。おっと!《女弦》がないから、《工》が弾けませんね。《工》は、《八》の場所で代用です。《上》は、その三味線の女弦を左手人差し指で押さえた音です。《合》はその三味線の中弦開放弦、《四》はその三味線の女弦開放弦。 こんなふうにやると、《高い音の鷲ぬ鳥節》ができあがります。
 二揚も親しみやすいでしょ。


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