back forward
(6)三味線を借りてしまう

 「金城クンちへ行ったらさ、床の間に三味線が飾ってあったのよね。金城クン弾けるんだー、って言ったら、だれも弾く人がいないから、飾ってあるんだって。金城クンだったら、貸してくれるんじゃないかな。」
 確かに、金城君は優しい人だから、貸してくれるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。なぜ、三味線が床の間に飾ってあるかを考えてくださいよ。

 ヤマトゥ(本土)の武士は、床の間に刀を飾る。ウチナー(沖縄)の士族は、三味線を飾る。平和主義なんだよ、沖縄は。

 こんな言葉を聞いたことのある方もおられるでしょう。今時、本土でも日本刀を飾っている人になんてめったにお目にかかれないとか、三味線を飾ることが平和主義の証なのかとか異論はあるでしょうけれど、ここで大切なのは、「床の間に飾る物は、大切な物にちがいない」ということです。

 三味線には、さまざまな物語がつきものです。たとえば・・・
 あの沖縄戦の最中、もてるだけの荷物をもって避難したのだけれど、最後に残ったのはこの三味線だけだった。
 艦砲が激しくなって、家は焼けても三味線だけは無くしたくなかったから、屋敷内に埋めて、あとから掘り出したんだよ。
 収容所で、みんなの心を慰めた三味線だ。
 1本の木から2丁の棹を作って兄弟で分けた。
 先祖代々住んでいた家の床柱を削って、三味線にした。
 親の形見だ。
 とまあ、こんな具合です。

 沖縄には、優しい金城君が大勢いることでしょう。でも、これから練習をしようというあなたは、ずいぶん長い間三味線とつきあうことになるわけです。借りるのであれば、持ち主の気持ちをよく考えて借りてください。


△おまけ−1
 三味線店の中には、お客さんの自主性を重んじるあまり(?)、いくつかの三味線を並べて見せて、「どうぞ、どれも5万円」なんて言う店主もおられるかもしれません。よし、音で判断・・・したいけれどできない。そんなあなたに。
 《三味線は、重たい物を買いなさい》という話を聞いたことがあります。先にも書きましたように、三味線の材質は、木の心材がよいわけです。心材は重たい。だから、同じ値段なら、重たい物を選べ。一応筋の通った話ではあります。(この、《重さ判断》の話をしたら、《バンジョー(アメリカの弦楽器)の世界でも同じ話がある》と教えてくださった方がおられました)
 ただし、重さだけで判断するのは危険ですので、《最後の手段》としてご利用ください。

さて、揃えるべき物が揃ったら、実践編ですよ。


back forward